
上顎洞を回避して臼歯部にインプラントを入れる方法はいくつかあります。臨床では骨量・骨質・患者条件で選択が変わりますが、代表的な選択肢を整理します。
■ 主なアプローチ
① 傾斜埋入(Tilted implant)
後方に向かって角度をつけて、上顎洞を避ける方法
いわゆる All-on-4 的な考え方
上顎洞前壁〜臼歯部皮質骨を狙う 長いインプラントが使える 即時荷重との相性が良い
👉 デメリット
・埋入方向の制約
・補綴設計がやや複雑
② ショートインプラント
上顎洞に触れないよう短いものを使う
骨造成なしで済むケースが多い 手術侵襲が小さい
👉 デメリット
・咬合力が強い患者では注意
・長期予後は骨幅・骨質依存
③ 上顎結節部(tuberosity)への埋入
臼歯さらに後方、結節部の海綿骨を利用
上顎洞を完全回避可能 フルアーチで有効
👉 デメリット
・骨質が軟らかい(D3〜D4)
・初期固定が難しい
④ 翼状突起インプラント(Pterygoid implant)
翼状突起 を利用
上顎洞を完全回避 非常に長いインプラント(15〜20mm) フルアーチ症例で有効
👉 デメリット
・技術難易度が高い
・解剖学的リスク(血管・翼突静脈叢)
⑤ 頬骨インプラント(Zygomatic implant)
頬骨 に固定
重度骨吸収例で適応 サイナスリフト不要
👉 デメリット
・侵襲大
・専門的技術必須
⑥ クレスタルアプローチでの軽度挙上
完全に避けるのではなく最小限の挙上で対応
低侵襲 ショートとの併用もあり
■ 実際の選択の考え方(臨床的ポイント)
残存骨高 5mm以上 → ショート or 軽度挙上 残存骨高 3〜5mm → 傾斜埋入 or クレスタル+ショート 残存骨ほぼなし → 翼状突起 or 頬骨

